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2007年9月 8日 (土)

バスに乗って

ずーっと昔、多分大学を出てすぐくらいの頃、オムニバスのカセットブックを買いました。
トリのP-MODEL目当てだったんですが、中に入っていたとある女の子の曲がとても気に入り、今でも時々ひとりで歌っています。
それが「バスに乗って」(宮田由紀子)
微妙に平沢師匠人脈の人らしい(Pモの他のメンバーが仕事で作ったサウンドロゴで歌を歌っていたことがある)んですが、曲自体はストレートでクリアなラブソング。
若干うろおぼえですけど、歌詞書いてみましょう。

バスに乗って森へ行こう
グリーンガムをかんで歩く
かさかさ音を立てて歩く
森の向こうは住宅地
そこはコーヒーの匂い
鳥のおしゃべり 車のうなり
きっとあなたも好きになれる
夜にはふたり 月に乗れる

両手に握りしめた あなただけへの思い
落ちる夢は遠い昔に あなたが放り込んだ

いろんな形の恋をしたわ
遠くで見てるだけの恋とか
夜にならないうちに手を振り
そして「おはよう」言いに行く恋
だけど明日に向かい合えない
忘れたふりして目をそらした
傷つかないうちに「さよなら」言われ
幾夜もひとり 月を濡らす

いくつか年が増え 欲も増えたわたしを
明日を見つめながら包んでくれるあなたがいい

カセットブックはしまい込んで出てこないんですが、多分殆ど歌詞は間違ってないと思う。ほんとうに何度も何度も歌っていたから。
この人の歌をナマで聴いたことはありません。
ずーっと遠くで思ってきただけ。

音楽の世界に限らず、そうやっていっとき浮上したものの、殆ど形になる物を残さないで消えて行く人をいっぱい見てきました。端から見るとホビーの世界に居た私も多分そんな一人でしょう。
でも宮田さんの歌のように、沢山の時間が経っても誰かの心の中にそんなシゴトのカケラが残っているとしたら、それだけでもきっと生きてきてよかったと思えるかもしれない。
10年の間の何十回もに及んだ私のコラムの中にも、誰かの心の中でそっとずっと抱きしめられていくそんなカケラが残っているといいな。
残っていますように。

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