簡単に言っちゃうと、
自分の居場所を想像出来なかった
こんなところかな。
20代の頃は同僚や友人と何回か展覧会+即売会のようなことをやりました。
折しもバブル時代にさしかかってたところ。
小さいサイズのイラストだと展開がないかもしれないなと思って、大きいカラーの絵を描くように心がけてたんじゃなかったっけか。
でもなんか、納得いかなかったんですよ。
描いても描いてもその絵がなにがしかの用途で商業的に使われている様子を想像出来なかったのね。行き詰まってたら、その展覧会に来たとあるイラストレーター(..実はその人のファンだったので、展覧会をやったギャラリーが持ってる名簿に彼の名前を見つけてわくわくしてたんですけど)に自分の絵をボロクソに言われまして。
いろいろ試してるようだけど、どれも(特に女の子の顔が)少女漫画みたいでデザイナー的には使いづらいよ、みたいなことじゃなかったっけか。
今だったらあれですね、「絵師」とか呼ばれてる人達の流れっぽい絵柄だったかもしれない。でも当時はそういう絵を描くのは漫画で名を為した人が余興で、に近い時代。イラストレーター専業の中ではあんまりない方向性で、実際、使える先も今から比べると全然少なかったと思う。
そうか自分の絵は所詮おたくな絵柄でしかなかったか、と思いまして。
でもそっちの世界にすり寄って行く気にはどうしてもなれなかった。
普段、イラストや絵本を扱った雑誌などを見ていても、可愛い、面白い、見てて楽しい、自分もこんなになれたらいいなあと思う絵柄は自分の絵とはかけ離れた人のものばかり。
自分が絵を描き続ける意義を見つけられなくなりました。
......ていうのが今から20年くらい前じゃなかったっけか。
今、絵を描いてもやっぱりダメっす。
独りよがりな感じしかしないの。
............と、はんこを2つほど彫ってみて思いました。
実は、技術的な未熟さや知識の足りなさのようなことは常々自覚してはいますが、人形絡み(服/カスタム)で、そういった独りよがりから来る先が見えないイライラは今あまり感じていません。
もちろん失敗や中途挫折も何度も(今でも)してますし、これは自分には出来ないわなジャンル〜ミシンとか顔を描くとか〜もあったりするんですが。
でも離れて、落ち着いて、見られるんですよ、自分の作品を。次にどう活かすかを考えられるんですよ。
尤も、今の私なんざせいぜいいいところちょっとしたおこづかいレベルで、これで食べられるほどのクオリティにはんもう全然及びませんが、それでも。
..........人形のスタイリング/ポージングを身につける機会があったことが大きく影響しているのかもしれません。
いずれにせよ、ペンや絵筆を取ることをやめた後、人形を次の素材兼パートナーに選ぶことで私は救われたんだと思います。
あれは3年近く前になるかな。
昔の知人と話をしていた時に私の当時の絵のことになり、..なんか過分に褒めてもらったんですよね。
でももう違和感しか感じなかった。
他のことはともかくとしても、このことに関してだけは真っ当に受け止められないなあ、と。
だってどこで使うの。
この絵のクライアントの存在を私は想像出来ない。
ましてや、これでいいと思って描き進むなんて出来ない。
あなたも絵でゴハン食べてるんだから自分の作品の買い手の存在を想像出来るよね。
同じことがこんな作品で可能だってほんとに思ってる?............
...彼は時々ここを覗きに来てるみたいなんですよね。
今の私はどう見えているのか、ちょっと気になってます。